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[コメント] バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014/米)

流れにたゆたう木の葉になった気分。その半面、被写体との距離が常に近く、息苦しさも感じた。超長回しについてはよく言ってニュートラルかな。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 原則論を確認しておくと、僕らが映画館に行くのは映画の技工を観に行く訳ではない。そういった技術が生み出す効果を味わいに行くのだ。良い効果を生んでいると思えばプラスに評価するし、悪いと思えばマイナスだ。技工を評価する観点はこれしかない、映画鑑賞者としては。本作の超長回しの場合、トータルでみて、映画鑑賞の妨げにはなってなかったと思う。

 作品についてだが、本作は演劇界の人々の人生を映画にしているけど、どうも僕ら市井の人間の人生と人生観が違うみたいだ。主人公の抱える苦悩や葛藤、対処の仕方などに切実なものを感じない。自殺を図った人物だから自殺を完遂するというのは論理的帰結だが、そもそもなんでそんな理由で自殺になるのか、またそんな方法でしようとするのか、といったあたりはちっともわかんない。

 むかし観た『イブの総て』で、ニューヨークの演劇界では批評家の存在が絶大であると描かれていた。今もその構図は健在なのだと分かり、面白かった(映画の世界、少なくとも日本の映画を取り巻く世界でこんなことありえない。このシネスケの存在がそれを象徴している)。今ごろあっちで頑張っている渡辺謙さんが成果を納めますように。

75/100(15/05/07記)

(評価:★3)

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