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[コメント] 黒衣の刺客(2015/台湾)

静かな「情」の物語。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その後の物語展開でもわかるように、これは武侠を題材とはしながらも、柱の部分は、主役たる刺客の刺客に成り切れない心の葛藤、つまりは「情」について描いた映画である。その意味では、聞こえてくる虫の音の中に明らかに蠅が飛ぶ音さえもが聞こえてくることに、通常の映画の録音処理ではあり得ないリアルさを感じたのも、「なるほど、あの刺客はこのような音さえもが気になるような静けさの中で、己の心の葛藤と闘っていたのだな」と得心がいく。

遣唐使であった1人の男の、自らの命をもかえりみない「人を助けたい」という素直な心が刺客の父を救う助けとなるというアクセントもよく効いている。これに機に刺客は、人を殺めるように鍛えられた自らの能力を、人を救うがための能力としていくことで自らの過去から離別していくのである。背後にせまる剣をも払い落とす集中力を見せることなく、その背を遣唐使に預ける際の痛々しくも安心しきった刺客の弱々しい姿も心に響く。

冒頭の墨絵のような白黒撮影の美しさからしてすでに只者ではない傑作感を漂わす本作は。私の心に大きな衝撃を与える作品であった。

もっとも、前席の武侠映画を楽しみにこられたのであろうご年配が、開始早々から高いびきをかかれていたことからも、好き嫌いは大きく分かれるだろうなぁ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] ゑぎ[*]

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