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[コメント] あらくれ(1957/日)

上原謙森雅之加東大介高峰秀子が仕掛ける肉弾戦に誠実に付き合ってくれる、という意味で確かに加東がベストパートナーだ。高峰はあらくれの域を超えてもはや格闘家。また成瀬作品は脚本家にかかわらずいつも台詞とりわけ罵言が面白い。ノロマのヒゲダルマ! 語呂がいい!
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**ネタバレ注意**
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成瀬が『あらくれ』を映画化! と高まりすぎた期待に応えるほどではないというのが正直なところで、成瀬の中では並の出来だろう。つまり傑作ということだが。

確かに映画にするのは難しいお話だったかもしれない。この高峰は決して不幸一直線というわけではなく、むしろそうであったほうが演出はよほど簡単だっただろう。ささやかな幸不幸の起伏が連続する展開に対してつけるべきメリハリが足らないとも見える(まあ実際は全然ささやかではないヘヴィな不幸が多いのですが、高峰の器が大きいために相対的にささやかに見えてしまうのですね)。しかし、『二十四の瞳』とはまるで異質の、だが確かに幸福な自転車シーンであるとか、名シーンには事欠かない。高峰が暴力に及ぶシーンはすべて爆笑に値する面白さだ。

上原・森・加東のほかにも、脇には東野英治郎やら宮口精二やら志村喬やら。さらに脇の脇には田中春男高堂国典まで擁し、最後は仲代達矢で締め。さながら五〇年代日本の男優図鑑といった趣きも。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)寒山拾得[*] 若尾好き ゑぎ[*]

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