[コメント] スポットライト 世紀のスクープ(2015/米)
快いまでの作劇性のなさが本作の何よりの魅力。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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まず私は、どれほど巨大な権力であろうとも「悪いものは悪く、正しいものは正しい」と立ち向かっていくバロン新編集長(リーヴ・シュレイバー)の静かながらも執拗なまでにその真実に迫っていこうとするその姿に「この人物もまた、幼少期に虐待を受けた1人なのではないか?」との憶測を抱いたことを告白したい。もちろんその思いは、呆気ないほど簡単に裏切られるわけだが、裏を返せば、そんな快いまでの作劇性のなさが本作の何よりの魅力なのである。
実は本作を観たあと、私は本ジャンルの白眉たる『大統領の陰謀』を再見した。そして改めてその意外なまでの「劇映画」ぶりに驚いた。この作品を本作の監督(トム・マッカーシー)は大いに参考にしたとのことだが、正直その作りは全くの別物と言ってよいほどの違いである。比するに本作のほうが、より愚直なまでに真実に辿り着こうと努力し、苦悩する人間の姿を描いた作品であるということがわかり、(もちろん『大統領の陰謀』は、それはそれで大好きな作品だが)前述した本作の何よりの魅力を再確認した。
役者に関しては、本作が最も多く得た演技賞が「ベスト・アンサンブル賞」であったことが全てを物語っているので多くは書かない。ただ、影の殊勲者としてマサノブ・タカヤナギの撮影が本作の大きな魅力を担っていることだけはあえて記しておきたい。
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