[コメント] FAKE(2016/日)
アメリカ人ジャーナリストとのやりとりのシーンが秀逸。ここまでは、正義が大切、ある意味全員が被害者、全員がいい人的な流れだったのが、このシーン以降一気に「全員が偽善者」と一変する。これこそがこの映画の成功点だろう。そして唯一ネコだけが日々をデレデレ過ごし、ヤツだけがすべてを知っている。
日本のマスコミ批判はもちろん、事実を追求する意味をも考えさせられる。「事実」とは何か、それを明らかにする必要はなんなのか。
佐村河内守という人物は、かわいそうな人なんですな。金銭では計れない貧しさ。そこにくっつく妻も、純粋なようでかたくなな人。
映画は他人の暮らしを覗き見るような、他人の秘密を覗き見るような居心地の悪さと野次馬的な好奇心と、自分より「下」であるような優越感を持たせる。真実というよりも、これがこの人たちの実情であるという、冷ややかな視点。この一見味方的な森達也の視点に、どれだけの人が騙されるのか。
最後にぜひツッコミたい。「タバコやめるのは、この映画ができるまで」かよ、と。それこそが森達也の佐村河内に対する姿勢だ。
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