[コメント] トム・アット・ザ・ファーム(2013/カナダ=仏)
開映後しばらく、『砂の女』めいた不条理の律する恐怖劇かと思いながら画面を眺めていたが、フランシスの意外な弱さを取り上げるまでもなくそれは錯覚だった。それと同時にこの作品は文学的色彩をポップな音楽で偽装しつつ、実は文学でなくノーマルな映画的芝居に変質していることに気づく。単なるスリラーであると見れば、高尚さをかなぐり捨てた低俗さは立派な武器になってくれるだろう。
(水那岐)
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