[コメント] ドント・ブリーズ(2016/米)
多くの好評を信じて鑑賞してきましたが、皆さんの第一声はこれだったんじゃないでしょうか。それほど緊張感が終始続いていて、ピーンと神経が張り詰めていたのがエンドロールと共に一気に解けていくのを感じました。 この感覚は『ゼログラビティ』の時にも感じたのにも似ていて、『セッション』のラスト10分にも近いんだけど、そのどれとも異質であり類似しない別ものの緊張感だった。ホラーだとかその手の類は全く平気なのだが、映画を見て久しぶりに嫌な汗と体の熱を感じた。珍しく「20年に一本の恐怖映画」という宣伝文句の通りだと思う。
盲目の元軍人が大金を持っていると知り、3人の若者が盗みに入るのだが…。というシンプルなストーリー。 だが、実に無駄が省かれていて、各々の立ち位置だったり思いだったりも明確で、上記の説明だけで十分内容の説明としては問題なし。唯一、アレックスの心情だけストーリー構成的に違和感があったが予想通りで補える範疇。難解でもなく、誰が見てもわかりやすいのだが、誰もが気軽に見られる映画ではないと思う。
なんせこの作品のメインである盲目の元軍人が怖すぎる。そんじょそこらのホラーの比ではない。対幽霊よりも対人間がこれほど怖いのか、ということを改めて思うほどで、主人公がもし自分達だったら、と考えるとゾッとする。 とにかく物凄い緊迫感。盲目だからこその迫る恐怖。目が見えないという設定がとにかく秀逸で、視覚がどうにもならない分、聴覚や嗅覚が異常に研ぎ澄まされ、いつ何をするのか、気づかれているのか、いつバレるのか、常時ハラハラしっぱなし。それを加速させるのが音響やカメラワークで、恐怖心を煽るそれは巧みだった。
さらに、無駄がないと上記したが、伏線やキーポイントも所々に置かれていて、しっかりとオチに繋がっていたのは引き込まれる要因の一つ。 一体何度絶望を味わったことか。何度安心を覆されたことか。どう着地させるかも読めず、ただただ「逃げ切ってくれ」と願い続けた。 生半可なホラーでは刺激が足らない人には是非お勧めしたい作品だった。
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