[コメント] ミュージアム(2016/日)
予告編を見て以来、サイコサスペンスもので、ずっと降りしきる雨、すごい工夫して殺した屍体、傷だらけの刑事、謎のメッセージ……と、2016年にもなって『セブン』を日本でやろうとしているように見えるその蛮勇は見届けねばなるまいと期待していたのだった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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で、序盤は確かにそんな感じなんだが、わりとすぐにそれは転調する。そこからは『チェイサー』とか近年の韓国クライムサスペンスもののようなゴリゴリギリギリしたものがやりたいのかなという感じでなかなか悪くないのだけど、さらにもう一回転調する。
そこからは映画の速度がはっきりと落ちてダレてくんだけど、ダレてくにつれて役者陣の熱演&怪演が加速していってアンコントローラブルになり、映画の画面がどんどん不安定になっていくところがあって、そこがこの映画で最も変で面白いところ。
これはたぶんテレビの画面で見たら単に座りが悪いシーンになると思う。素晴らしい映画に「映画的瞬間」としか言いようのないシーンやカットがあるように、そうでもない映画にもこういう変な、なんていうかダルなグルーヴみたいな一瞬があって、結局のところそれを感じるために映画館に行っているのだ。
話はそれたが『ミュージアム』は、下手なサイコサスペンスものが時々陥るような「(見かけ上の)高尚さ」の罠に陥ることなく娯楽作に徹していて、なにより殺人鬼がムカつくインテリかぶれじゃなく単なる変態糞野郎なとこも良かったし、幕切れもスマートだし、レイトショー代金ぶんはお釣りがくるくらいは楽しめた。
(2016/12/21 劇場にて鑑賞)
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