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[コメント] カフェ・ソサエティ(2016/米)

ウディ・アレン原点回帰という評判だったが、ウディ・アレンの集大成だった。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ソーシャル・ネットワーク』のザッカーバーグが(<素直にジェシー・アイゼンバーグと書いた方が早い)いつのまにかウディ・アレンに見えてくる不思議。 わざわざ停電にしたりして、蝋燭の灯で撮影なんかしちゃって、もう!ヴィットリオ・ストラーロ76歳。円熟の極み。

ウディ・アレンが若い頃なら、ザッカーバーグ君が(<だからアイゼンバーグだって)失恋した辺りで終えたと思うんですよ。私がウディ・アレン好きになったきっかけが『マンハッタン』だったってこともありますけど、傷心物ってウディ・アレンの原点のような気がするんですね。『アニー・ホール』もそうですし。その辺が「原点回帰」と呼ばれた所以なのかもしれません。

でもウディ・アレンにとって硝子の少年時代はとうの昔。人生の機微を描くようになって久しい。 少し前のウディ・アレンなら、ザッカーバーグ君がクリステン・スチュワートに再会した辺りで終えてたように思うんです。ああ、あんなに輝いていた彼女が、すっかりビッチになっちまったな。そういう傷心を込めて。

しかし、ウディ・アレン81歳。そこからさらに話を転がすんですね。

ユダヤ家族にギャング、ショービズ業界、コミュニストといったアメリカの全てを詰めこみ、話の終着点が一体どこにあるんだか、どこに向かって進んでるんだか分かりゃしない。 で、ニューイヤー・パーティーの喧騒にゴールを置く。人生には祝祭が必要だよね。おめでとう!おめでとう!良いお年を!祝祭の言葉を周囲に投げかける。いまここにいない誰かを想いながら。 この一瞬の「映画的場面」のために、全てが紡がれていたかのよう。

人生の機微が全部放り込まれたような映画。すげー面白かった。

だけどあれだよね。あの『パニックルーム』を生き延びて、バンパイアに恋をし、ジュリエット・ビノシュの秘書までやったクリステン・スチュワートが、メソメソしたザッカーバーグごときで満足できるわけがないんだよ。

(17.05.07 TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞)

(評価:★5)

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