初めて行くような他人の家があってそこにおそるおそる入り込んだ瞬間のよそよそしさだとか、その家のルールや作法を意識した時の変な違和感だとか、隣近所にうるさいからあまり騒がないようにしなきゃとか、そういうのが少しでも現れるともうすごいプレッシャーで、他人と関わる時間の中でも特に神経質になる部分というか、だから家の中のシーンが多い（しかも家族がいるだけで自分の家ですら他人の家になるような）カサベテスの映画の中のジーナ・ローランズのとまどいと必死さ、ぎこちなさを見ていると、自分もやっぱり、まぁあそこまで過敏じゃないにしても、犬でも何でも何か助けになるものがあるのだったらそれにすがりたいし、少しでもその場に笑顔を増やしたいと何か奇妙なことを試みるかも知れないし、自分のこだわりを同じフレーズで繰り返し口にするかも知れないと思うのだけれど、それでもこの映画にどうしても５点を付けることができないのは、いつまでたってもジーナに安らかになれる場所がみつからないことに対して、勝手に恨みを持ってしまったからなのかも知れない。