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[コメント] 北陸代理戦争(1976/日)

集団抗争劇ではなく個人闘争劇。拡散ではなく定着。奉仕ではなく生活。ひいては国家より国民。これは『仁義なき闘い』の主題の対極にある「組織」対「個人」観。ゆらゆらと体を前後に揺する川田(松方弘樹)のクセが、この男の秘めたる凶暴性を象徴して秀逸。
ぽんしゅう

川田(松方)の地元への固執と暴挙に振り回されつつ、自分を見失わないきく(野川由美子)の強かさ、発想が地元から飛躍しない隆士(地井武男)の優しさ、田舎娘の武骨さがプライドに昇華したような信子(高橋洋子)の一途な純真。そんな、身に沁みついた土着の思考が行動を支配する北陸気質、すなわち「個人」礼賛映画。

そして、すぐれた雪の映画。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH[*] ゑぎ[*] 寒山拾得[*]

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