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[コメント] ゲット・アウト(2017/米)

差別に対しての切り口も面白いが、それをタブー的なスリラーに繋げたのがまた面白い。
deenity

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「何か変だ。」ってフレーズ、ズルいですよね。これをキャッチコピーにするだけで興味が湧いてきますもん。反則だと思います。

本作はその期待値を裏切らない作品でした。黒人と白人のカップルが白人の彼女の実家に顔合わせに行くのだが、多少の差別は予想していたのだが、それ以上に様子がおかしいことに気づいていく…。 単純なスリラー物として捉えるのではなく、そこに黒人差別の要素を加えることで絶妙に不気味な、そして不快な空気感が流れます。

はっきり言って彼女の家族に顔を合わせた時、おとうと以外はほとんど差別的な感覚はありませんでした。これは自分が無知で鈍感なだけかもしれませんが、彼女から言われて初めて「あ、あれは差別なんだ。そこに不快感を持つんだ。」ということに気付かされました。 これだけ人種差別の撤廃が謳われながら当たり前のようにそれが根深く残っているのは、きっと一人一人が持つ感覚に根づいてしまっている部分かもしれません。気づかないうちに人を傷つけているのかもしれない。考えさせられます。

ただ、話はそういうメッセージ性の強いヒューマンドラマではなく、あくまでスリラー。親戚が集まり始めてからの心持ち悪い不穏なムードが終盤にも生きる立派な伏線となっています。 中でもキーポイントは差別をする白人ではなく、同じ仲間である黒人達に対する不信感がさらに違和感を加速させるのが面白いですね。

ネタバレはなるべくしていないつもりですが、とりあえず伏線をしっかり拾った良質なスリラー映画だと思います。人種差別というタブーを破ることで何か強いメッセージ性のある作品というよりは、スリラー要素を引き立てるためのスパイス程度に捉えるのが良いかと。 本作のタイトル、ラストのおじいさんの行動を考えるともう少し深みが増しますね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)IN4MATION[*] まー シーチキン[*]

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