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[コメント] 勝手にふるえてろ(2017/日)

ITブタの糞タワマンから見る都会の夜景は、でも奇麗――と思いきや。透明な殻に閉じこもったままの巻貝少女の天動説視点と、その違和感を螺旋を描いて裏返してみせる手練は、良くも悪くも乗り越えた者のそれ。確かすぎて、同年代的危うさに欠け、以降が回収作業に見えた。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







読み返したら、妙に冷たいコメントに見えたので追記。

かなり面白かったです。特に記載したミュージカルへの発露に至るシークエンスはこういうのが見たいんだよ、さすが僕ちゃん映画通の慧眼と思って興奮したのも束の間、シネスケ覗いたら皆さんきっちり書いていてドン引きです。

主演の熱演にも好感しかない。

一方、後半物足りない気がしたのも事実で、何でなんだろうと思ったとき、「えらそうに呼びつけてないで、おまえから行かんか!」と一瞬感じたんですが、これはでも違っていて、なぜなら少女のままの貝殻=思春期への執着に囚われた自我の牢獄から出るのか、それともそこに初めて他者を招き入れるのか、と考えると、この物語は圧倒的に後者であるべきだから。そこで思うのは、ついに招き入れたそこはでも結構こぎれいだよなあ、と。ふと思い出されるのは、『嫌われ松子の一生』。ゴミ屋敷の王女の汚部屋なんですが……別にゴミ屋敷である必要はないんです。汚いとは限らないと思うんですが、入れたくない決定的なモチーフが何かなくてよかったんか、と。彼女の部屋は、別にいつ誰を呼んだっていいレベルというか、アンモナイトなんてどうってことない! リアルタイムに近い同年代が演出したら、下手になったかもしれないけれど、痛さがもうちょいヒリヒリ来るような危うさが出たんじゃないかと思うのは、こういうところかもしれません。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] けにろん[*]

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