[コメント] 宇宙からのメッセージ(1978/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
アメリカで『スター・ウォーズ』(1977)が大人気と聞き及んだ日本映画界は、「次のブームはSFだ」と早速二本の映画製作を発表した。一方が特撮映画では老舗の東宝で『惑星大戦争』(1977)。そして特撮では新興の東映が製作したのが本作だった。
どちらも製作期間は短かったが、東宝の『惑星大戦争』は派手さと言い、特撮と言い、今までの実績を遺憾なく発揮。大規模な宇宙戦争を描いてくれた…とはいえ出来は酷かったが(笑)
対する東映は確かにTVシリーズでは仮面ライダーシリーズや戦隊もので多少なり実績はあったものの、映画ではむしろ時代劇とか任侠ものとかが主軸で、大規模な特撮はあまり得意としてなかった。
それで東映の取った方法は、設定の方にストーリーを合わせるのではなく、なんと自分の映画作りに物語を引き込んで、それに合わせた特撮をしたと言うところ。内容もまさに70年代に邦画界を席巻した東映ちゃんばらそのまんま。実際、本作を銃の代わりに刀握らせて、そのまま時代劇に仕上げても何ら問題ないという、一種恐るべき作品を作り上げた。出てくるキャラも千葉真一率いるJACの面々総出演で、見事にキャラが濃すぎ。本当になんらちゃんばらと変わりがない。
一応原作は野田昌宏が映画のために書き上げたもので、内容もそれなりにSFしているのだが、それで出来た作品は、「里見八犬伝」で、深作監督曰く、「SFのチャンバラ」だと割り切って情緒性やSF的小細工を全部ぶった切り、自分のフィールドに持ち込んで好き放題に作り上げてしまった。
実は本作を観たのは割と最近。ネットで評価を見てもさほど高くないし、それに前に観た『惑星大戦争』の出来があまりと言えばあまりだったので、たいして観る気も無かった訳だ。
はっきり言って本作を観た理由も「変なもの観たらネタになるか?」と言う程度の軽い気持ちだった。
いや、確かにネタにはなる。しかし、それ以上に驚いたのが、「普通に面白かった」と言うことだった。そりゃ70年代の東映映画知ってる身としては、「何がSFだ。まんまやんか!」と思いっきりつっこみ入れたくなるようなものではあるが、敢えてSFとかなんとかをぶっ飛ばし、“東映らしさ”を優先させたこの作りは、感動さえ覚える。この開き直り方がとても心地良い。
なんつっても千葉軍団がやりたい放題だから、肉体を使ったアクションが目白押しで、それに爆発を加えれば「これがSFだ」になってしまうのが凄い。
それにキャラがとにかく笑える。成田三樹夫や千葉真一が白塗り顔でドアップかますわ、老婆役で天本英世が出てくるわ…これで笑えない方が無理。ヴィク=モローもさぞかし驚かれたことだろう。
終始ガハハと笑いながら観ることが出来た。これも又、日本の誇る特別な作品(と言う意味での“特撮”)。これだけ楽しませてくれたのだから、点数も大甘。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。