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[コメント] あいつと私(1961/日)

中平康らしい非現実的なまでの快活な台詞回しやテンポの良いカッティングによるスピーディな演出を楽しめばそれで良い。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 この映画もずばりセックスに関する映画で、かなりどぎつい台詞もあるのだが、しかし画面は日活らしい明朗かつ清潔なものに終始する。セックスをテーマにしているが人間の闇を描こうとしないだとか、所詮お坊ちゃまお嬢様の戯れ事にしか見えないだとか、あるいは、学生運動をからめたレイプ事件なんかは思想的な事柄に言及することも可能かも知れないが、この映画はそういうことを云うのがバカバカしくなる映画だ。中平康らしい非現実的なまでの快活な台詞回しやテンポの良いカッティングによるスピーディな演出を楽しめばそれで良いではないか。

 やっぱり芦川いづみ(長女)が圧倒的に魅力的。彼女が早々に引退してしまった(藤竜也に掴まった)ことが残念でならない。実は中学生役(三女役)の酒井和歌子が見たくてこの映画を見始めたのだが、殆ど台詞もないし可愛らしさを感じるシーンもなし。では高校生役(次女役)の吉永小百合はどうかと云うと、これも大した魅力なし。ま、出番が少ないので仕方ない。出番が少ないということで云うと軽井沢の別荘での雨のシーンで出現する渡辺美佐子は出番は少ないながら強烈な印象を残す。石原裕次郎の母親役・轟夕起子の扱いには最初無理があるかと思ったが、終盤は良くなる。父親役・宮口精二の情けなさが実に良い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 寒山拾得

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