[コメント] 月曜日のユカ(1964/日)
最初はユカを演じる加賀まりこが若作りしてハシャいでいるようにしか見えなくてどことなく気持ち悪かった。でもそれってある意味すごい事だなー。40年以上経った今もビジュアルが何も変わってないって事だもんね。(中尾彬なんて見るかげもないのに。)そんな加賀まりこの薄気味悪さも徐々に薄らいでいき、どんどんユカの魅力にハマっていきました。本当にコケティッシュでなんとも言えず可愛らしい!ずーっと眺めていたい男の気持ちがよく分かる。
でもそんなユカの行動には共感出来るところが全くありませんでした。自分と根本的な考え方が全く違ったからです。自分と180度価値観違うのに、それでも最後まで彼女を愛しく思ってしまったのは奇跡に近い。恐らくユカには悪びれたところが全くなかったからだと思います。やってる事は共感出来ないし、むしろ否定的な目で見てしまう。でもそういう表層的なところではなく、彼女の底に流れているものがとても真っ直ぐで汚れていないから、彼女をいとおしく感じてしまったんだろうと思います。
ユカには「幸福」という感情が欠落していたんだと思います。愛から生まれるものは沢山あると思います。ユカの目指していた「喜び」もそのうちの一つだと思う。けれども彼女の中で「愛」と「喜び」がイコールになってしまっていて、他にも生まれるはずの感情を受け入れる隙間がなかったんだと思います。娘にお人形を買い与え笑っていたパパが、"愛を感じて喜んでいた"のではなく、"愛から生まれた幸せを感じていた"という事が理解出来ていなかった事からも見てとれます。
だからあと少しで自分の元にもおとずれたであろう「幸福」の存在にも気づく事なく見逃してしまったんでしょうね。でも彼女に対して"アンタは間違ってる"なんて事、とてもじゃないけど言えない。残念な事に彼女は何一つ間違ってなどいないのだから。
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08.03.19 記
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