[コメント] 魂のゆくえ(2017/米=英=豪)
スタンダードサイズに切り取られた画面に熱量はなく寒々しい。牧師(イーサン・ホーク)は周りの者たちから、調子はどうだ(大丈夫か)と声を掛けられ続ける。彼の顔に生気はなく、どこで何を間違えてしまったのだろうという“戸惑い”が貼り付き強張っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
〔ご注意〕以降には、本作と『愛のメモリー』(1976)のネタバレがあります。
ラストシーンに驚いた。なんと本作の監督であるポール・シュレイダーが、1976年に脚本を書いた『愛のメモリー』とまったく同じ、抱擁し合う二人を軸に「世界」が回る“あの印象的”な演出がなされてるのだ。「愛のメモリー」は、失くしてしまったと思い混んでいた娘と父の再会の物語だった。
この沈鬱な物語は、神から見放され、世の中の矛盾を背負わされ、身も心も疲弊した男が、正と邪の端境期を経て「失ったと思っていたもの」と“再会”する再生譚だったのだ。
余談です。そう書いてみたところで私もちょっと戸惑っています。「愛のメモリー」の監督はブライアン・デ・パルマだ。ポール・シュレイダーは、デ・パルマの演出を、あえてそくりそのまま踏襲したのだろうか。それとも、あの印象的なカメラワークは、もともとシュレイダーのアイディアだったのだろうか。それとも、私の考えすぎ・・・だろうか。
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