[コメント] さよならくちびる(2019/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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塩田明彦ファンなんですけど、実は『どろろ』以来。 『風に濡れた女』を経て、人間関係の“湿度”が増した気がする。観逃したんだけどね。激しく後悔。
塩田明彦は「人生の不条理を描く作家」だと私は思っています。 生きるのは苦しいことだと描写しながら「それでも生きろ」と言う。 『害虫』『カナリア』はもちろん、一見そうとは思えない『この胸いっぱいの愛を』『どろろ』ですら、死んだ者より生きている者の方が苦渋の顔を浮かべる映画でした。
この『さよならくちびる』も例外ではありません。 ハルもレオも、それぞれ「人生の不条理」を抱えて“今”がある。ハルの初恋。カレーを食べて泣くレオ。誰にだって訳がある。
構成はオードリー・ヘップバーンの『いつも2人で』。離婚寸前のロードムービー。「昔はあんなに楽しかったのに」という想いがインサートされる。 そう、これはロードムービーなのだ。 知らぬ間にハルレオのファンになっている自分。ロードムービーの傑作『カリフォルニア・ドールス』と同じように。
今に至ってしまった理由は順序立てて説明はされない。 差し出されたシマの高級ライターを断るレオ。そこから三角関係は始まっている。たちまち嵐。
ファンの子を追う映像。 もしかするとこの映画は、「人生の不条理」もさることながら、「それでも生きろ」が強く出た作品なのかもしれません。
余談
「さよならくちびる」という歌は綺麗な曲で、他の歌(「誰にだって訳がある」「たちまち嵐」)は少しクセがあるけど味がある印象。日本酒に例えるなら吟醸酒と純米酒みたいな感じ。秦基博とあいみょんの違いだと分かれば、すごく納得。
余談2
ジャンヌ・モローになり得る逸材=小松菜奈が大好きなんですよ。この映画の門脇麦も俺も。俺は乳酸菌ショコラを食べてるよ。小松菜奈になりたいんだよ、みんな。
(19.06.15 TOHOシネマズ日比谷にて鑑賞)
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