[コメント] 荒野の誓い(2017/米)
とても肌理細かに演出された西部劇だ。まずは開巻、子供達に文法を教える開拓民の清らかな日常生活イメージが、コマンチによって蹂躙される、その激変の落差とスピード感に「活劇」を感じて胸が熱くなる。
その後も多くの登場人物の死が描かれる。しかも、それぞれ印象的な最期の場面が用意されており、この部分でも演出の肌理細かさを際立たせていると云えるだろう。本作は、死と墓と葬送(埋葬、風葬)の映画である。
また、長い旅の映画でもあり、中盤以降のロケーションは、荒野から岩山、灌木のある山から森の中など、多くのバリエーションある風景を舞台とし、アンソニー・マンをはじめとする、懐かしい西部劇の背景を思い起こさせてくれる。このあたりもファンにとっては見どころだ。これが日本人撮影者(マサノブ・タカヤナギ)の仕事である、ということでも嬉しくなる。
ただし、少々ペシミスティックに過ぎるシーン挿入があり、興ざめる。例えば出発前夜の荒野で、クリスチャン・ベイルが嘆くシーンは要らんと思う。ありきたりだ。ロザムンド・パイクが部屋で泣くシーンまでカットしろとは云いづらいが、これも無くてもいいと私は思う。
あと、エンディングの汽車を使った別れの場面は、中盤の黒人伍長との惜別と同じように、潔く描くのが私の好みだ(というか、てっきり、そう演出されると思ったので、ちょっとがっかり)。
#ティモシー・シャラメ(仏移民の上等兵)の扱いで本作の撮影時期が分かる。(シャラメが今ほどネームバリューのない時期の撮影ということが分かる)
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