[コメント] アド・アストラ(2019/米)
広大かつ静謐な映像を堪能する映画であると同時に、本作はブラッド・ピットの顔と語りを楽しむための映画だ。彼は、十分にその任に堪えていたと思える。
しかし、宇宙服を着た際には、ヘルメットのサンバイザー部分が金色で、外観上、顔が見えない、というのがアイロニカルな意味でも面白いと思った。
さて、プロット展開的にはジョゼフ・コンラッド「闇の奥」と『2001年宇宙の旅』を思い起さずにはいられないのだが、でも、配役からは、『スペース カウボーイ』や『アルマゲドン』なのだ。リヴ・タイラーってなんか久しぶりだし、『アルマゲドン』オマージュですよね、やっぱり。月面でのとってつけたようなチェイスシーンもそう。それと、火星への途中で、実験動物を登場させる趣向は『2001年』の冒頭の猿と繋がるのか、『地獄の黙示録』の虎か、とか、火星での安楽室は『ソイレントグリーン』じゃないか、とか、そして、海王星のステーションに入った際に、歌が聞こえ、モニターに二人の黒人歌手(ニコラスブラザーズ)の映像が映し出される部分なんかも、やっぱり、キューブリック的だなぁ、と思うのです。これらの見せ方は、全部、淡泊とも感じるが、簡潔で品の良い見せ方とも思う。私には充分楽しめた。
トミー・リー・ジョーンズがもっと怖いのかと思ったがそうでもなく、結局、想像通りの展開となる。このあたりから漫画のような荒唐無稽さが横溢するのだが、それもご愛敬だ。映画にとって荒唐無稽であることは常に善いことです。
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