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[コメント] ソング・トゥ・ソング(2017/米)

モノローグ・トゥ・モノローグ
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







初めから終わりまで、鬱陶しいほどのモノローグ。会話は少ないが、モノローグを一切無くして、その少ない会話と美しい映像だけで、最後まで見せたほうが、まだ登場人物たちの心情は私に届いただろう。

映像が美しいと言ったが、なんか落ち着きなく場面が切り替わるから、余韻は無い。豪邸がたくさん出てくるが、クックも、BVも、せわしなく動き回るし、女性陣(役名はあるが、ほぼ名前が登場しない)は、窓辺に立つことが多く、いつも下を見下ろしてる。

マーラ演じる女性は、あれだけモノローグ多いのに、いったい何がしたいのかさっぱり判らない。彼女が楽器を持つ意味も理由も見つからないし、BVとも、色っぽいお姉さんとも、唐突に別れることに。彼女が本音を「喋る」のは、家族だけ。

ポートマン演じる女性も、モノローグが演技の邪魔をしている。ひたすら空っぽなクックの側に、居場所が見つからないとか、孤独を際立たせる前に、これまた唐突に最期をむかえる。

この映画には、たくさんの大物ミュージシャンが、「themselves」という形で登場する。超豪華だ。しかし彼らは、クックが「敏腕音楽プロデューサー」であるということを表す為の「飾り」にしか過ぎない。彼らの歌をじっくり聴かせる訳でもなく、見せ場を作ってあげる訳でもなく、なんか「モソモソ」っと喋らせるだけ。「これ誰?」が判らない人には、「何?このおじさん」になってしまう。そんな中にヴァル・キルマーとかを混ぜてかるから、「ライブ会場」のシーンが、どれも心に残らないです。「音楽の力」みたいなのは、1つも感じられない。少なくとも監督は、これらのミュージシャン達をリスペクトなんかしていない。

ひたすら空っぽなクック。よくファスベンダーは、この役を引き受けたなと思う。まあ気球に乗ったり、自家用飛行機で空中遊泳したり、パートナーの横で裸のお姉さんとじゃれあったり、楽しそうだったけど。

そしてBV。一応彼はミュージシャン役なんだから、もう少しそういう場面を作ってもいいと思うけど。せっかく「歌える」ゴスリングを起用しているのにね。いっそのこと、BVのモノローグは、全部「歌わせる」のもありだと思う。ミュージカルみたいに。しかしこの監督には、その才は無いんだろう。

ブランシェットの無駄遣い。お気の毒様です。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] セント[*] 水那岐[*]

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