[コメント] ゴジラvsコング(2021/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
前作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の大失敗の原因となったご家族ドラマはきっぱり捨て去り(今回は見事に「人間が描けてない」というか「描いてない」というか「描く気もない」)、芹沢博士の息子が微妙に悪の手先なのに親子の葛藤とか丸無視で(編集GJ!)、その上リアリティはもとよりSF考証もぶった切って、その結果、地球は空洞だわ(しかも南極に穴!)、謎の反重力ビークルは登場するわ、挙げ句の果てにメカゴジラが暴れ回るわなのですが、馬鹿馬鹿しさはむしろプラスになっていて、というかその突き抜けっぷりも嬉しく、巨大怪獣が街を壊しまくりながら戦うのを口をパッカリ開けて見上げる(そのためにも大スクリーンの前の方で!)幸せな時間を過ごすことができました。
ま、ぶっちゃけボンタン履いた不良同士が殴り合った末に口の端にこぼれた血を袖で拭いながら「ふっ、お前もやるな」っていう話なんですが、そこだけに絞り込んだおかげで『パシフィック・リム』と並ぶ名作巨獣ド突き合い映画になっているのです。
つまりは理想の東宝チャンピオン祭りであり、そして実は東映まんが祭りの『マジンガーZ対デビルマン』であり、要するにかつて小学生だったあなた、あなたのために作られた映画ってことなのです!!(そういう意味では「世界征服を企む銀のツナギを纏って珍妙なサングラスをかけた地底人」が登場しないのがこの映画の唯一の瑕疵かもしれません)
<2021.07.12:2回目観ての追記> この映画でコング側にもゴジラ側にも子供を配しているのって、映画を観た子供たちがコング派でもゴジラ派でも、布団の中で自分に置き換えて反芻できるようにするためだと思うのです。そういう意味でも理想の東宝チャンピオン祭り。いや、妄想かもですが。
なお、一緒に観た妻は「メンチ切り合って殴り合うとこまでは良いんだけど、勝ちが見えるとドヤって吠えるだけでトドメを刺さないあたり、ヤクザじゃなくて確かに高校生の喧嘩だな。とは言え、"最初は光り物から始めて徐々に脂の強いものへ、頭っから大トロなんて素人だとぉ?うるせぇ、俺の金で食うんだから最初から大トロ、次も大トロ、最後まで大トロで何が悪い!" みたいな清々しさがあるよね。貫くって大事。いいものを見せてもらった」と。
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