[コメント] ライトハウス(2019/米)
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救命艇を破壊し、オノを携えて脚を引きずるデフォー先生のパロディっぽい描写(本当に外的存在としてのデフォー先生だったのかはわからないのだが)。よく見ると多分に『シャイニング』。性欲、アルコール回りの描写もそう。最初に酒を口にするシーンなどロイド(バーテン)でも出てくるんじゃないかと思った。自滅への諧謔は風に吹かれて舞い戻るオヤジ二匹(もしかすると一匹だったかもしれない)の糞尿が代表的だが、灯台が男性器の比喩、というのもかなり狙っている。ある種の方が見れば「嗤える」というのは私もよく理解できます。灯台を捉えたカメラがひっくり返るシーンなんか勃起そのもので、むしろ「嗤うべき」なんでしょう。
それ以上のものがあるか、という点ではいまいち読み解ききれない食えない作品という印象が強かったが、ハッタリだけでここまでの物は撮れないと思う。前作『ウィッチ』でも反神、というか人間の存在の弱さと神の沈黙がテーマの一つではあったように思うので、そこに一つの作家性があるのだと思う。その意味では自意識の波が非情に襲いかかる波濤の描写が最も優れていると感じました。
※ 炉に火を焚べるシーンが繰り返されます。一般的に「炉」は女性器の暗喩とどこかで読んだ気がします。自分が火を焚べているのに、灯室(灯台=男性器の、てっぺん=亀頭笑)で射精してるのはデフォー先生。性的欲求不満のメタファーか。粘液も枚挙にいとまなく登場しますが、精液のメタファーと見て間違いないでしょう。灯油に何かの粘液入れてヒャッハーしてますが、あれは何なんですかね。霧笛、シャイニング冒頭の幻想交響曲の引用に似てませんか?
(追記)鑑賞&レビュー投稿後に監督のインタビューを確認。ネットに転がっているので検索してみてください。シャイニングの引用は意図的なもののようですね。観すぎて楽しめなくなってしまい、ここ数年観ていないというコメントで笑ってしまいました。やまない風、という点でタル・ベーラの名前が出てきますが、なるほどと思いました。『ニーチェの馬』ですね。にしてもインスピレーションのもとになった作品群、人名を見るに、かなり貴重な感性・知性の監督だと思います。今後が楽しみです。
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