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[コメント] ライトハウス(2019/米)

これは面白い!随所に、ぶっ飛んだ演出が現れるので、ずっとニヤケながら見ることができる。でも、ぶっ飛んだ演出以前に、本作の基調となる、全編に亘る面白さの仕掛けを考えてみよう。
ゑぎ

 第一に、スクウェア(正方形)の画面アスペクト比の効果をあげるべきだろう。これが狭い。広大なロケーションを背景にしているからか、本作の場合、思った以上に狭く感じる。だからオフスクリーン(画面外)が余計に気になるし、音響効果にも敏感になる。あるいは、画面内は閉塞感が醸成されると共に、被写体、例えば人物のアクションに注視させられる。

 冒頭から音が氾濫している。波濤。風。海鳥。霧笛。霧笛を鳴らすための蒸気機関の音。作業の際のノイズなどなど。また、隠蔽と暴露のモチーフで緊張感を持続させる。隠蔽の例を思いつくまゝ列挙すると、ロバート・パティンソンが見つける小さな人魚の像、ウィレム・デフォーの日記、ライトハウスのレンズ、それらの鍵。土の中の酒、名前(本名)、狂った前任者、生き埋め、などなど。

 さて、最初に書いた、ぶっ飛んだ演出というのは、例えば、泥酔してのバカ騒ぎだったり、夢や幻想のシーンであったり、海鳥とのやりとり(お互いに対する仕打ち)であったりする。中でも、酔っぱらったときだけ、仲良く二人で騒ぐシーンが唐突に繋がれるカッティングにはニヤケる。あと、人魚のヴァギナ。人魚との交接。蛸かイカか、巻き付く脚。このあたりの幻想シーンはチープな造型だが、チープさ含めて面白いと思う。

 そして、満を持して暴露される美しいレンズ、その眩い光のカットと狂気の演出に、私は満足感を得ることができた。この美しさに魅了される、されないは、観客を選ぶかも知れない。ライトハウス自体が「映画」のメタファーか。

(評価:★4)

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