[コメント] ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984/米)
映画の「スケール」を決定するものとは何か。私見によれば、それは「上映時間」でもなければ「物語の時空間的な拡がり」でもなく、「美術」である。オープニングの阿片窟の造型だけでも感涙に値する。なんという美しさ! なんというユニックさ!
というわけで、この映画の最大の功労者はカルロ・シーミ率いる美術班だと思う。もうすばらしい美術装置の数々。むろんそれは撮影のよさと切り離しては考えられないけれど。
レオーネの演出は(まさにレオーネらしく)すばらしいところと頓珍漢なところが混在している。時系列の交錯はことごとく成功しているとまでは云い難いし、過剰なセンチメンタリズムに辟易する人もいるだろう。しかし、それが大きな瑕疵とならないほどにケレン味と繊細さを兼ね備えた演出に溢れていると思う。レオーネがそのキャリアを通じて築き上げてきた「砂埃」の画面が見事な「蒸気」のそれに置き換えられているのも、必ずしもトニーノ・デリ・コリだけの功績ではあるまい。
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