[コメント] やがて海へと届く(2022/日)
ガーリーだったすみれ(浜辺美波)の髪は月日を経るごとに短くなっていく。そんな彼女を見つめる真奈(岸井ゆき)の視線。恋情に至らないまでも二人の間に確かに存在するジェンダーの揺らぎ。すみれのビデオカメラは心の揺らぎを制御するフィルターなのだろう。
生きることの正も負も肯定するように多彩な表情を見せる海が反復して描かれる。確かに「死」の悲しみは忌むべきものだが、すべての者に平等に訪れる「死」を拒絶できない無力感もまた果てしなく虚しい。それは、あるがままの海を拒絶する徒労にも似ている。陸前高田の巨大なモンスター防潮堤が無粋な悪あがきに見えてしまうのは、いずれは「死」を受け入れざるを得ない人間の弱さのモニュメントだからだろう。
いつも中川龍太郎の映画は静かに、しかし力強く悲しみを肯定する。
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