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[コメント] TITANE/チタン(2021/仏=ベルギー)

アレクシア(アガト・ルセル)という女は会話としての言葉をほとんど発しない。通俗な女の記号“性的肢体”を隠れ蓑にジェンダー嫌悪を超越し破壊本能の赴くまま有機物を殺傷し無機物との同化に欲情する。鮮烈な画面演出にかぶる俗っぽい楽曲と音響制御が印象的。
ぽんしゅう

そんな前半は刺激的でスリリング。一転、後半。その行き着いた先の解放(?)はいかがなものか。変態じみた肉体崇拝マッチョ親父(ヴァンサン・ランドン)との顛末はわけが分からず無理筋で「理屈じゃない」といいたいのかもしれないが古今東西の神話的既視感ありありで理屈どおり。難解で締めるならまだしも、いささか陳腐。

既成の価値を暴力的に破壊してみせるのは意外と簡単だが、瓦礫の跡に新たな価値を作り出すのは容易ではない、という典型例。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペペロンチーノ[*]

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