さて人への偏見が公開当時に比べればだいぶ無くなった今でもうっかり騙されるヘンリー・フォンダ扮するジミーの怪しさ。

脱獄した後も自分はヘンリー・フォンダが恋人も含めて全てトリックを使っているのでは？と疑っていた。つまり現金強奪は実際彼がやっていて車内に代わりの男（殺害）を入れておき自分は無罪を主張するつもりだったのではないか？と。単に現金強奪車の発見が遅れたのが彼の計算違いであったのではないのか、と。

それだけ彼の（作り）笑顔は怖い。それが後半、実は単に不器用な人の笑顔であったと分かる描写に移っていく所が実に上手い。そして観客は序盤で彼を疑った自分の偏見に苛まれながらエンディングを迎えるのである。