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[コメント] HANA-BI(1997/日)

いくらなんでもお勉強しすぎの、「映画」っぽい映画。あなた=キタノタケシが、じつは真面目で勤勉な保守本流だってのは、みんなもう十分知ってるよ。

映画っぽく映画を作ろうとするのは、文学的な表現を使って文学を書こうとするのと同じくらい、観てるこっちが恥ずかしくなってしまう(たとえばマイポエムとかマイブックの、鼻をつくようなあのナルシズム!)。

HANA−BI』を観ていると、編集とオチがあまりに‘上手すぎ’て、あまりに出来すぎで、既成のわくに収まりすぎているように思えてしまう。北野武の映画はいつも、その枠からはみ出してしまう過剰さに憑かれてはいなかったか。バイク事故以降の彼の死生観の変化うんぬん、などという紋切り型の‘読み’はまったくどうでもいいことだが、「いかに生きるか」から「いかに死ぬか」を(北野)美学的に(!)語り始め、‘無意味な死’をカッコよく演じようとしているのだとしたら、正直いってウザい。そんなものは思春期的なモラトリアムの甘えでしかないんじゃないのか。いい大人がそんなもんを、いまさら(!)持ち出してしまうなんて、貧乏ったらしい自意識過剰なだけだ。・・・・・・なんていう風な啖呵をきりたくもなるけれど、しかしカッコよく演じようとしてしまう気持ちも、痛いほどわかるのよね〜。けど、そんなヤワな自意識をぶち壊してしまう問答無用の体験が、北野武の映画だったのに・・・。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] sawa:38[*]

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