[コメント] 怪物(2023/日)
現代社会の機能不全、家庭内不和、教育の形骸化等、是枝作品の根幹を今まで以上に深めた印象。ただしLGBT問題に触れた点は少々詰め込み過ぎた感が。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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母親目線での進行、教師視点での展開、子ども自身の事実。それぞれを時間差で追っていくストーリーで、視聴者は自分がいかに固定観念にとらわれているかを突きつけられる。これはつまり物事は多角的にとらえないと危険であるということなのだろう。
安藤サクラのさりげないセリフ回しや所作は安定の上手さがあるし、後半の森でのやりとりや「ナマケモノ」のくだりには引き込まれる。いくつかの夜のシーンは、そのライトで内面を映し出すような効果があった。
オトナとコドモ。ウソと本音、裏と表。体裁と実質。
相手を大切に思いながらも相手を受け入れることができない者が怪物なのかもしれないし、怪物の仮面を脱ぎ捨てるには、腹の底からウソを吐き出し自分をさらけ出す必要がある。たとえそれが不協和音でも、吐き出し続けることで大きなうねりとなって周りに響き渡っていくと信じたい。
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