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[コメント] カード・カウンター(2021/米=英=中国=スウェーデン)

余計なことは一切せずに、ひっそりと、まるで時間が停まったままであるかのように生きる男にとって、時間が再び動き出すことはどういう意味を持つのだろうか。渋い雰囲気が漂う良質な映画。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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物語が進む中で、男がなぜ出所後、息を潜めるように生きてきたのか、少しずつ明かされる。そしてそれとともに、男が罪を犯したことを自覚していることも明らかになる。

そう仕向けた人物がいることを理解していても、やはり自分は罪を犯したのだという思いに囚われ、そしてそれを償うことも消し去ることもできないままでいた男の時間が、再び動き出すまでを描いたのだろうなあ。

そして、停まっていた時間が動き出したことは、良かったのか、悪かったのか。

金を稼ぐために大きな大会に向かう目標ができ、他者とも深くかかわるようになり、積極的な面も出てきてが、同時に、同じような犠牲者を救うことができなかった無力感ももたらしたのではないか。

だが最後、ガラス越しに指をあわせるシーンには一縷の希望を感じさせる。

全体としては非常に渋い雰囲気が漂う良質な映画だと思う。ただ欲を言えば、もうちょっとポーカーゲームの緊張感を味あわせてほしかったな。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ひゅうちゃん けにろん[*]

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