[コメント] 枯れ葉(2023/フィンランド=独)
オープニングがベルトの上を流れてくる生肉で、あ!「マッチ工場の少女」!とときめいた。カウリスマキの「一連の仕事や動作は丁寧にうつす」ところ素敵だよねー。歌や演奏の場面もだけど、とってつけた極短い挿入じゃないから、そこにはちゃんと物語がある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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二人の恋がもりあがってくるたびチャイコフスキーの「悲愴」が流れてくるという、ひねたセンスも好きだなあ。今にして思えば、あれは「そう簡単にはいきませんよ?」と音楽でネタバレされていたのだろうか。
ウクライナとロシアの戦況もラジオを通して(ウクライナ寄りの放送で)流れてくるけど、ロシアの代表的な作曲家の音楽は繰り返しつかうというのもよいなと思った。戦争が始まったとき、チャイコフスキーをはじめロシアの音楽はもうかけません!みたいな動きもあって、いやいやそれは違うだろう…と新聞をスクラップしながら思ったので。
途中、二人が実はインテリだったり元々はよいおうちの出身なのかな?と思わせられたりする場面がいくつかあって(男が職場のロッカーに小難しげな本を入れていたり女が食事の作法に詳しかったりなど)、そこはちょっと鼻白らむというか、なくてもよい設定では?とも思ったけど、そんな彼らでも仕事がないこの時代をあえてフィルムに残しておきたかったのかなあとも。
まあ、とにかく、最後のウインクだけでも胸がいっぱいになる、真に素晴らしい映画だったと思います。というか、まさにこれこそがブレッソンのリアリズムとゴダールのチャーミングさを彷彿とさせる名作だったのでは?と。
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