[コメント] 市子(2023/日)
この監督・撮影コンビの『13月の女の子』(2020)というインディー映画をなぜかオレは劇場で観ており、しょうもない話だったと記憶している。今作はケタ外れに力のある映画。三日会わざれば刮目して見よ、ですね。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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主演の女優さんが凄いなとか、宇野祥平がすっかり邦画の格上げ請負人になってるなとか、兄ちゃん原チャリでもメットのヒモ締めなさいよとか、まーネタバレを避けるとそれくらいしか言うことがない。
冒頭で見せられるのは波、海、梢、黒いワンピースで歩く杉咲花、鼻歌などだ。この時点ではしょうもない雰囲気もんだ。映画の終盤、お話の真相に迫る中でこれらのイメージが反復される。これがなかなかえぐい。黒いワンピースがゆるふわガールのそれではなく、喪服のイメージと知れる。あんまり覚えてないけど『黒衣の花嫁』って映画もあったな。鼻歌はフリッツ・ラング『M』のペール・ギュントですね。
現代の怪談的な展開から事情が明らかになるにつれ、市子さんそりゃ悪くないわ仕方ないわ過酷な人生だわと言いたくなってくるが、一方で彼女は護身のために複数人を殺害しており、作り手の意図通りにモヤモヤさせられる。最初の殺しがCPAP(シーパップ、呼吸補助メカ)みたいなのつけた寝たきりの妹でイヤーこの場面凄かったねえ、今村昌平かと思ったぜ。最後の陰キャ童貞と自殺志願の女に至っては何がなんだか訳が判らぬ。2人をニコイチにするのはなぜなのか。コイツもう殺しに慣れちゃって、効率を追求してはいないか。
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