[コメント] 残菊物語(1939/日)
信じられないようなカメラアングルと繰り返される長回しに異常性すら感じる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ストーリーよりもむしろそのカメラワークが気になって気になって…。その異常なまでのカメラアングル&長回しにより、場面ごとの印象が非常に強く残ります。家に二人残り、スイカを切って食べるシーンなんかはどっかに神様が潜んでいるとしか思えない。そしてその神様が潜むシーンがラストになってまた活きてくる。5年後の家を同じカッティングで見せ、赤ん坊は寝ていた同じ部屋で5歳になっている。二人でスイカを食べた台所には違う使用人がいる。それを観た私たち鑑賞者の脳裏に過ぎった過去の風景は、そこに無言で立っている菊の助のものとリンクする。・・・素晴らしい。やっぱりどこかに神様が潜んでいるに違いない。
しかし溝口監督は恋愛というもを真摯に描いているように見えるけど、実は恋愛というものを全く信用していない人だったんじゃないかと思う。恋の始まりはいつだって胡散臭い。それがさも大恋愛のように育っていく。その描き方が的を射すぎていてなんだかとても怖い。
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08.11.17 記
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