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[コメント] 黒い雨(1989/日)

原爆体験という共通の体験が、人と人とを結びつける。単に原爆の悲劇でない、 喜劇をも描ききったところに、この作品の普遍性が存在している。
ちわわ

私は、ヒューマンな反戦映画が苦手だ。 核兵器反対映画なんてとんでもないとも思う。 「核兵器が残虐」なんてことはわかりきったこと。だが逆にいいたい、 この世の悲惨さなんて、いたるところに満ちている。核兵器だけが悲惨を なのではないと。

いつだったか、とある国が核兵器を持つというのに、日本の反戦青年たちが、 原爆の写真をもってそこの国民に原爆反対を主張しているのを見たことがある。 その国の人々の反応は冷ややかだった。原爆の悲惨さを主張したところで、 その国のひとびとには「そのように」ならないためにも、原爆は必要なのだとも 言えるのである。

戦争は残酷だしもちろん反対である。だがその「正義」は 一面的な正義であることも理解すべきだと思う。 多くのひとが正義を信じているのだ。でもその結果、闘いがおこる。

しかしこの映画は、単純に反戦映画ではない。またそう理解することをこばむ 要素がたくさんあるのである。 ここでは、原爆、戦争を体験したもの同志の不思議な連帯感が描かれている そこにこそこの映画の生命線があるのだと思う。 だから、笑いがありペーソスがある。ニヒルさまで感じるときさえある。 そこを見逃してしまっては、この映画は ひどくくだらない映画になるのではないだろうか。

(評価:★4)

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