[コメント] ひめゆりの塔(1953/日)
日本的、被虐的ナルシシズム。殺戮される女子供。
印象に焼きつくのは女学生達のにおわせる独特のエロス。閉塞した悲惨な状況のさ中で懸命に働き、疲弊して傷ついていく彼女達の姿は、妙に倒錯したエロスを帯びていくように思える(女学生達が黒いセーラー服を改めて着るところなんて、ゾッとするほどエロいと思う)。映画は敵(米軍)の姿を直接に描かず、ひたすら戦争に振り回される日本人(民間人)達の姿を追っていくのだけれど、その破局へ向かっていく救いのない空気と女学生達が垣間見せる倒錯したエロスの絡み合いは、敗戦間際の日本のカルト的に閉塞した精神性を色濃く反映しているようにも思える(*)。それと、呆気なく殺戮されて死体となる女子供の図も、その非情さが印象的。
*)アニメ『EVANGELION』の終盤の雰囲気を思い出した。
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