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[コメント] 日本列島(1965/日)

これはそれまでのプレスコードに対する具体的な戦いだったのだろう。が、今見ると、権力を名指しで告発することの半ば目的の達成感、組織謀略という切り口によるダイジェスト感が気になる。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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こういう社会派の作品であれば、作品が当時の社会に向けてどうであったかを知らない私が正しい評価はできないと思う。その上で一つ思うのは、人々が権力に蹂躙される恨み悔しさを強く味わわさせてくれる作品ならもっとほかにもある、ということだ。つまり本作は、人間の尊厳を蹂躙されることの根源的な問題<名指しの告発ということなのだと思うのだ。また「怒り」の描き方が私的には少しクールに描きすぎのようにも思う。ザンメル技師として利用され殺された元少佐の娘の米軍機の爆音の中での絶叫とか、ゴミ捨て場にゴミのように打ち捨てられている死体とかの冷めた描写は絵的に決まっているだけという感じがしてしまう。そういうスタイルの模倣を見過ぎている私に問題があるのかも知れないけど、それをやるなら権力はもっと不可視的な恐さとして描くべきように思う。繰り返すが、具体的に当時の社会に向けて告発を行った作品であれば、今見てどうだからということが評価のすべてではない。共犯者としてアメリカと癒着した世の中にいる私には私が考えなければいけない課題があるのです。なので採点も0点にしようかと思ったのだけどそれをやるときりがないので。

(評価:★3)

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