[コメント] タクシードライバー(1976/米)
凡庸な言い回しだが、すごいとしか言いようがない。
若きデ・ニーロから滲み出る孤独感。端役だが重要な役回りを示すカイテル&フォスターの存在感。遺作となったハーマンの音楽やその使い方を含め、前作までの模索が嘘のようなスコセッシの自信に満ち溢れた演出も素晴らしい。
しかし何より素晴らしいのは、影の主役とも言うべき大都市・ニューヨークの描写。劇映画でありながら当時の(ベトナム戦争を元とする)米国民、あるいは国自体が抱いていた疲弊、狂気といったものが醸し出されるドキュメンタリータッチの、その見事さがあって初めてこの物語は成立したのだと思う。
そういう意味では脚本家のシュレイダーが同じニューヨークの下町を描いた『ミーン・ストリート』を観て本作の監督をスコセッシにと懇願したというのもよくわかる話だし、スコセッシ自身も自分が撮りたくて仕方がなかったものが脚本としてすぐそこにあるという状況に歓喜したというのだから、内容の重さはともかく、これはもう本当に史上に残る幸福な映画誕生の瞬間だったと言えるのではないか。
実は高校の時以来ほぼ30年ぶりの鑑賞だったのだが、当時と変わらぬ、いやそれ以上の感動に素直に圧倒され、本当に素晴らしい作品というものは時代を超えるんだということを改めて実感した。
いや〜本当にすごかった。
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