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[コメント] MEMORIES(1995/日)

大友博覧会。技術は凄まじいが、全話どこか冷笑的でまったく気持ちが乗らない。
ペンクロフ

アニメーションは技術の積み重ねで出来てるものなんだけど、技術をウリにすると虚しいことになってしまう。第3話「大砲の街」は、ワンカットで見せるという驚愕の技術的挑戦で目を惹くものの、早々にワンカットのからくりを明かしてしまう。空間的繋がりは無視され、絵の中で場面転換し、全然違う場所の違う人物に話が移る。これを作り手はワンカットでアールと言い張ってるわけだ。確かに技術は凄まじいが、オレの感覚ではそりゃーワンカットとは呼ばねえんだ。ワンカットの意味を失っているので、普通にカット割った方がいいくらいだ。

たとえば学校で給食を食べてる子どもたちの群れの大俯瞰から、スーッとパンするうちに主人公のガキのアイレベルに構図が変化する箇所。こういうのは素晴らしい。しかし子供からオカン、オトンへ自由自在に場面を変えるのはアウトよ。

全体的には大友特有の冷笑的なオムニバスだ。凄まじいのはエンドロールで、キラ星の如きスーパーアニメーターが勢揃い。大友克洋はズルいよな。『AKIRA』の時もそうだが、大友がアニメやるとなれば問答無用でスーパーアニメーターが集まってしまうのだ。それが『AKIRA』くらい面白ければいいんだが、今作程度の感じだとスーパーアニメーターの皆さんが勿体ないんだよな。大多数のアニメ監督は今作よりはるかにショボい実力のスタッフを使って、なんとか面白くしようと頑張っているのである。大友克洋には、やる以上は面白いアニメを作る責任があるのだ。ということで、今後とも頑張ってください。

(評価:★3)

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