[コメント] 津軽じょんがら節(1973/日)
永遠への脱出者たちに贈る 〜Zongra Remains The Same.
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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脚本家中島丈博に注目して再見。実に彼らしいメッセージが織り込まれていることに気付く。
自伝的とも云われる『祭りの準備』では閉鎖社会からの脱出が描かれていた。本作で主人公の青年織田あきらが選んだ道は一見するとその逆。しかし本質的には同じであった。
派手で刺激的なようで実は単調な都会での無軌道生活。その果てに待っていた面倒見の良い姐さん女房との逃避行。彼はそこから脱出したかった。そして脱出してみせた。その更に先には突然の死が口を広げていたわけだが。
彼の死はけして意義ある死ではない。完全なる犬死であった。しかし彼の生命が最期に放った輝きは本物だった。彼の「故郷」は彼の中に確かに存在しており短い間でもそれを見つけることが出来た彼はある意味では果報者といえる。
三味線の師匠は少女に「昔のことは忘れなさい」と言う。しかし少女は忘れないだろう。「あんちゃん」の声を「忘れるわけない」とのことば通り。
Return To Forever.
唄と波は永遠である。彼は永遠へと回帰したのである。
やはり、果報者である。
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