[コメント] イル・ポスティーノ(1995/仏=伊)
前半、主人公マリオの他力本願で卑屈なところにうんざりする。観るのを止めようかとすら思った。ところが
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そんな彼が、詩を覚えていくに従い少しずつ少しずつ変わっていく。その眼に力が宿っていく。実際隠喩を覚えたくらいでそんなに変われるかどうかは別として、事実そう見えたっていうのは、確かな演技力なんだと思う。徐々に不快感が消え、ふわりとした優しい感覚が残りました。
また、「言葉」を主題にした映画の場合、和訳作業は通常より更に大変なものなんじゃないか、なんてことを考えました。今作の詩なんて、「人の人生を変える力を持つ言葉」って位置付けなんだから、さぞかし気を使ったんだろうな。そのためか、時々ハッとするようなセリフがありました。
ラストもあれで良かったんじゃないかなと。マリオは詩人に憧れ、詩人になることを夢見てあそこまで来たわけですよね。そして詩人っていうのはその詩が原因で、国を追われたり首をくくられたりすることもあるっていうセリフがありました。ネルーダのような詩人になりたかったマリオは、ネルーダのために詩を読みにいった集会で死ぬわけです。彼はネルーダを愛し、尊敬した彼と同じ「詩人」として人生を全うできたんです。妻や子供のことを考えれば、決して褒められた話じゃないんですが、この映画に関していうならそれもまた一種のハッピーエンドだったのかも知れません。
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