[コメント] トラック野郎・望郷一番星(1976/日)
どうせB級映画・・のつもりのはずが、中盤からあれよあれよと昇華していく変貌振りに、そしてその上感動までしてしまっている自分に一番驚く。
思えば、釧路漁港での菅原文太と梅宮辰夫との西部劇まがいの決闘シーンからだった。本気で殴り合っているんじゃないの?と思わせるような激しい殺陣。いや、アレは確実に何発かは殴ってたと思う。
そんな男汁たっぷりのアクションシーンにも関わらず、監督の鈴木則文は殴り合いの最中に女に鼻血を拭いてもらうというB級コメディを挿み込んだ。この監督の撮り口には言いたい事は山程あるのだが、ここまでくるとその確信犯振りに素直に楽しむしかないのだと悟らされる。そして悔しい事に、これが結構笑えたんだまた・・
そして島田陽子とのショボイ絡みが一段落し、梅宮辰夫等トラック野郎とのパートに入るや映画の質は一変していく。時間内に40tの荷を輸送しなくてはならないという一級のアクション映画に一変するのだ。
ここでの菅原文太はお調子者の一番星桃次郎の顔ではなく、『仁義なき闘い』で観客を震えさせた広能昌三の顔になってるではないか。そしてカーチェイスあり、40tの重量に耐え切れない吊橋突破あったりと、これが前半のコメディ映画と同じ作品なのかと目を疑うことになる。
極めつけは、沿道の見も知らぬトラック野郎たちの声援と援助によってこの難しいミッションを達成していく様だった。
不覚にも感動してしまった。この程度のB級映画のくせに、感動しちまった・・・
この監督、やれば出来るんじゃないかと思う反面、映画ってのは最後まで鑑賞しなくちゃ判んないもんだと思いました。「このシリーズはB級!」って勝手に決め付けてた自分がちょっと情け無くもありました。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。