[コメント] バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985/米)
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本作について今更言うこともないだろうが、敢えて言えば、それは、やはり、未来へ帰るシーンが秀逸であるというこの一言に尽きる。感動的ですらする。
マーティが未来へ帰るためには、時速140km以上で加速しているデロリアンに1.21ギガワット以上の電力を次元転移装置に送りこまないといけない。そして、その1.21ギガワット以上の電力を得られるのは、時計台に落雷した時のみである。その時刻は、10時4分。まさにその時に、落雷で生じる電力を、電線を通じて次元転移装置に送り込まないといけない。たった1分遅れても帰れない。そして、ドクとマーティがどれだけ絶望的な状況に陥っていても、時計台は、冷酷に針を進める。時間は待ってくれない。これは、あたかも不可逆的な時間を可逆的にさせた彼らに対する時間の報復措置のようである。
とはいうものの、このドクとマーティとが結託する姿が感動的なのは、このように時間が限られているからこそである。無情にも針を進める時計台の下で、未来へ帰させようとするドクのマーティに対する懸命な姿と、デロリアンを加速させるマーティのドクに対する絶対的信頼。正にこれこそが友情、と見せつけられているかのようである。そして、10時4分。加速するデロリアンと電線に送られた電流とが交叉する。この交叉シーンは、彼らの結託が実を結ぶことを示すと同時に、30年前のドクとマーティとの別れをも意味する名シーンである。
デロリアンは、青白い閃光を放ちながら一瞬にして消え去っていく。それに対して、時計台は、もう針を進めることなく10時4分を永遠に刻印する。それは、あたかも彼らの結実の証を永遠に刻印しようとするかのようである。本作が、感動的にすら思えるのは、こういう所にあるのだろう。
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