[コメント] 泳ぐひと(1968/米)
よし、家まで泳いで帰ろう。 I am swimming home!
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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彼(バート・ランカスター)は泳ぐ。「泳いで家に帰る」という奇想天外なアイデア。彼自身そのアイデアの虜になっているのがよく判る。 中盤当たりで彼が精神衰弱状態にあるとわかるのだが、彼にとってこのアイデアは「泳いで帰る」ことよりもむしろ「地に足を“つけず”に帰れる」ことの魅力、それはまるで別世界の我が家に向かうようで、悩み全てを白紙にするほどの甘い錯覚をもたらしたのではないだろうか?
ちょっと終盤は痛々しくて観ていてつらかったが、それまで自信に溢れた人がある切っ掛けで精神衰弱になり唐突なアイデアに縋(すが)ってしまう状態は、身近を考えるとあんまり他人事でなかったりして(変なことを言い出した自分に自己陶酔し、周辺を手当たり次第誘うだけ誘って、直前になってやっぱり止めた・・・てな感じ)、考えてしまう。
こういうケースでは、性質が悪くなってくると、公然と縁を切る人、深く関わらない程度に付き合う人、影ながら心配する人などに分かれるわけですが、本作は家との距離が離れるほど(付き合いが薄いほど)それまで通り付き合っている設定になっており、実にリアル。 もともと親友がいれば、そうなる前に救われたかもしれないのは映画も現実も同じわけで、虚栄の成れの果てというか、いろんな意味で進んだ国アメリカですね。
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