[コメント] Love Letter(1995/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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久々にテレビ放送の作品を見たので、そのぶちぶちと引き裂かれた編集に嫌気が差しながらも、それでも見終わって残るこの爽やかな余韻はさすが岩井俊二と思う。
個人的に、あまり映像を意識せずに、自然な作品になっている、と言う感じがする。演技や脚本も自然で、その会話や人物の個性などを分かり易く丁寧に描写してくれる為、すーっと頭に入ってくる。その為、その感動もまたすーっと頭に入ってきて、見終わった後「あぁ、良かったなぁ」と純粋に思える。
最初、俺は単純に「死んだはずの男にラブレターを送ったら来るはずの無い返事が来て・・・」と言うだけの、ごくありふれたファンタジーであり、それを岩井俊二が如何に魅せるのか?と、思って楽しみにしていたのだけど、そんなものアホな俺の妄想に過ぎず、実は中山美穂の一人二役による、偶然が呼び起こす微妙な繋がりの物語。
人には知らない部分が沢山あって、恋人でもそんな部分を知ってる、って事なんて稀なのかもしれない。その部分を知りながら、例え相手が死人であろうとも、少しずつ距離を縮めていく。。。って、そんなメインの話はどうでも良い訳でして、僕は二人の主人公(=一人の役者が演じてる)が抱えている「死」と言う過去が引き起こすドラマに僕は呆然と涙したのでありました。
友人(主人公の恋人)の最期の瞬間をしみじみと語り合う男たち、ボケちゃったのかと思えば一番冷静なおじいちゃんが、身を犠牲にしながらも必死に病院まで走る姿、そして、彼氏が亡くなった山に向かって必死に叫ぶ主人公。この作品の人物に一貫しているのは、全て「死」であり、その死をどうにか吹っ切ろうともがいている彼らの姿は涙なくして見れず、僕は必死に涙するのでありました。
そしてラストに見せる一通の図書カードを介したloeve letter。観客は薄々気付いている訳ですが、この作品はさらに三角関係の側面まで持っているのでありました!!
と、言う訳で、見事な脚本と、しなやか、と言うか繊細で優しいタッチの映像で綴られる物語の裏に隠された、トラウマから脱出しようともがく人々の強さと優しさ、そして切ないのに全然切なくみえない恋愛模様、と僕は満足しながらビデオの停止ボタンを押すのでした。
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