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[コメント] シャロウ・グレイブ(1994/英)

ギャンブラー精神のチキンレース。つまんない人生よりゃ、いいよね。
カフカのすあま

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「スーツケースいっぱいの現金」。この金額は明らかにされない。

彼らは英語でいうところの Hooray Henry。研究社の辞書によると「自尊心・自己顕示欲が強く、酒や女遊びをことさらに吹聴する(ロンドンの)金持ちの若者」。彼らはロンドン人ではないが、まさに絵に描いたようなフーレイヘンリーたち。

でも、彼らの姿からみえるのは、楽しくもない毎日の生活、つねに刺激を必要とする退屈、装う友情と背後にある絶対的な信頼感の欠如。だから、彼らは迷いながらも「スーツケース」を選ぶ。

3という数字は物語そのもの。2人なら一対一のキャッチボールで済むものが、3人になったとたんに何かが崩れる。3人いれば政治や駆け引きが始まる。この駆け引きゲームが何度見ても楽しい。

All or nothing。いちかばちか、伸るか反るか。一切合財をひっくるめて受け入れるか、なにも取らずに立ち去るか。これは賭け事に生きる人間のモットー。美しいギャンブラー精神。

さて。以上のような黒い精神を信奉しながらも、実は好きなシーンは LOVE の消しゴムのエピソード。天井の上からは読み取れない3D。こんな程度のことにホンワカしてしまう私って、やっぱりウブなのね。

(評価:★5)

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