[コメント] 國民の創生(1915/米)
「黒人なんか全員ブッ殺せ」というムチャな映画があっても別に問題ないが、この映画はムチャクチャな主張を押し通すためのムチャクチャな力に欠けている。
『戦艦ポチョムキン』を観て一時期革命バンザイ主義者になってしまったほど影響されやすいオレも、この映画にはちょっと乗れなかった。「黒人ブッ殺せ」なんて映画はそりゃ確かにムチャクチャだが、それを理由にこの映画を否定する気はない。グリフィスが自分の本音で映画を作った結果の主張であれば、逆に立派だとも思う。その姿勢で行け! とすら思う。
だがこの映画、作者が自分の主張のムチャクチャさに無自覚で、ツッコミどころが多すぎる。もっと周到に、細心に、巧妙に客を騙してねじ伏せなければ、こんなムチャは成立しないのだ。現代の我々から観ると、当たり前だけどさすがに説得力に欠ける映画だ。こういう映画が無自覚に、無邪気に作られた時代があった・・・そんな歴史の証言以上の物語ではなかった。
ただ、リリアン・ギッシュはやはり凄いです。彼女だけは軽々と時代を超えていた。
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