[コメント] バットマン(1989/米)
性悪説の証明と拡散・普遍化に傾注し「遺憾ながら」現代的共感を得た『ダークナイト』の「誰でもない狂賢人」ジョーカーとは違い、こちらは狂気に堕ちる一人の男の悲哀に寄せるバートンの「異人への慈愛」が先行したジョーカー造形で、また違う味わいを楽しめる。ただし・・・
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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対する主人公の暗黒面描写が中途半端で魅力もないことや、アクションのキレが鈍すぎる(致命的に弱い、テンポが遅い)こと、バートンの狂人への慈愛が強すぎることが相まって、ジョーカーがそのまま可愛らしく愛嬌のあるキャラにしか見えず、「ジャック・ニコルソン劇場」以上のことが出来ていないことが悔やまれる。剥げかけたメイクに戦慄する『ダークナイト』とは別に二種のメイクを使い分けるなどの設定ももう少し活かせないかと思ってみたり、もう少し圧倒的な狂気の凄みをちらほら混ぜ込んでいただきたかった。舞台と道具がそろっているだけに残念な点が多い。
逆を言うと、苛めても苛められても味の出るニコルソンに愛のうずきを感じてしまう私のような人間には至上の時間が待っている。 グリソム( ジャック・パランス )を始末する射殺の舞、銃身の異常に長いピストル、墜落寸前で恐怖に引きつりながらも笑い続ける表情にいろんな種類の涙があふれて止まらない。
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