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[コメント] 悲しみは空の彼方に(1959/米)

冒頭の海岸のシーンから、撮影が素晴らしい。ラナ・ターナージョン・ギャビンの抱擁のカットの、ターナーに対する繊細な照明(ソフトフォーカス)に至って思わず涙がこぼてしまった。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 映画のストーリを力強く押し進める中心的な役割は黒人のお母さんが担っていて、彼女とその娘にまつわる悲しい物語に涙せずにはいられないのだが、映画の画を強烈に印象づけるのは、寧ろラナ・ターナーに対しての照明だ。他の俳優のカットと全くルックが違っても、そんなことはお構いなし。ただただ女優の顔を美しく見せる意志がみなぎる照明・撮影・演出というものがかつてあったのだ。『上海特急』での、マレーネ・ディートリッヒに対するリー・ガームスの撮影を想起するくらいに、このラッセル・メティの撮影は素晴らしい。

 また、トロイ・ドナヒューが黒人の娘の恋人役でワン・シーンだけ登場する。このシーンの演出のいきなりの転調ぶりは凄い! ジャズっぽい音楽が流れ出したかと思うと、それまでニコニコしていたドナヒューが突然、恋人を殴り出す!またそれが手加減のない徹底した殴り方なのだ。

(評価:★5)

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