[コメント] 悪魔のような女(1996/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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リメイクは、原作と同じじゃつまらないです。原作のどういう部分を活かしてどういう新しい味付けをするか、でしょう。
このリメイクは賛否両論ありますが、わりと好きです。オリジナルではV.クルーゾをシモーヌ・シニョレがリードしていきますが、このリメイクでは、逆にアジャーニがS.ストーンをリードする。要するに、だます方とだまされる方の力関係が逆転しているのです。それが「あ、そうだったのか」という発見を与えてくれる。
旧作にあった最後の仕掛け(幽霊!!)がなくなってますが、それも納得。男性も旧作の冷徹な雰囲気のある男から、下品なたんなる怖い親父になってるのも、探偵が男性から女性に変わるのも、よかったと思う。変な作り物の眼を入れるのも、半分お笑いになっていておかしかった。旧作では怖い仕掛けも新作では知的な笑いになるのです。目玉はどこかエロティック(バタイユ)。こういった変化がないと単に嫌みになります。
最近のホラーにはない、昔のサスペンスの気品を考え直すのにいい映画です。お笑いも含んでて、これは知的で気品のあるリメイクです。
アジャーニというと『吸血鬼ノスフェラトゥ』(ムルナウ監督)のリメイク『ノスフェラトゥ』(ヘルツォーク監督)もありますが、これも品のいいリメイクでした。普通の意味での怖さはないかもしれないけど、無数の白ねずみに囲まれて街を歩き回るアジャーニの姿には、本当の意味での怖さがあった。この人はいわゆる名作にでるより、隠れた傑作に出て欲しい。
後の二人の女優の立場も含めて、サスペンスを考えさせられましたね
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